『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著者・新井紀子氏に、AIをめぐる世界の状況と読解力の重要性を聞いた。

あらい・のりこ●一橋大学法学部および米イリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院数学研究科単位取得退学。東京工業大学で博士号を取得。「教育のための科学研究所」代表理事・所長も務める。(撮影:今井康一)
──フランスのAIサミットから戻ったばかりですね。
3月下旬に世界のAIの専門家がパリに集まり、マクロン大統領と意見を交わしました。今回、フランスはAI分野への大規模な投資を発表しています。私が呼ばれたのは、日本でほかの方とは違う立ち位置だったからだと思います。
──その違いとは?
(第3次ブームで)日本国内では、米国や中国に負けずにAIへ投資すべきだという議論ばかりでした。そうした中、私はAIが及ぼす社会的な影響について強い関心を持っていました。
日本はものづくりの国で、多くの企業が消費者に対して製造物責任を負っています。そこで使うAIが、フェイスブックなど無償サービスを効率化するためのものと同じ精度でいいはずがありません。AIというものはどこまで信頼しうるツールなのか、という問題意識がありました。
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