デジタル化がいっそう進む中、子どものうちからどんな能力を磨けばいいのか。専門家に聞いた。
(聞き手・本誌:井下健悟、林 哲矢)
「なぜ?」と自分の頭で考える習慣をつける
メタデータ社長・理学博士 野村直之

のむら・なおゆき●1984年東大工学部卒。2002年理学博士号取得(九州大学)。リコー勤務などを経て05年メタデータ創業。近著に『最強のAI活用術』『人工知能が変える仕事の未来』。
今はAIとは何かを正しく理解せず、タイトルに「AI」という言葉を入れた本があふれている。極端な例だが、複数の人から「AIで何でもできるんですよね。株取引の必勝ツールを作って、自分だけに売ってくれませんか」と言われたことがある。仮にそれが可能だとして、お客さんに売る道理があるだろうか。論理的な思考能力やバランス感覚の欠如が疑われる。
人にとってAIは道具でしかない。たとえば、高さ6メートルの木の上に実がなっているとしよう。人が腕を伸ばしても実は取れないが、5メートルの棒を使えば簡単に実を枝から落とせる。AIは人の腕より優れた棒と同じ。だから、「AIが人の能力をいつ超えるか」という問いを立てること自体が無意味なのだ。
目標を設定して考え出す
自意識を持って「なぜ」と考えたり、人を説得できたりするコンピュータは、今世紀中に出てくる見込みはない。だからこそ、「なぜ」と考える習慣を子どものときから身に付けさせることが重要になる。
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