「核なき世界」を目指したオバマ前政権から一転、「核抑止の役割強化」を打ち出した米トランプ政権。背景には、中国による核兵器開発の進展がある。
2月2日(米国東部時間)、米国のトランプ政権は、中期的な核政策の指針を示す「核態勢の見直し(NPR:Nuclear Posture Review)」を公表した。
今回のNPRは、2010年にオバマ政権の策定したNPRが「核兵器の役割縮小」をうたったのとは反対に、「核抑止の強化」を前面に打ち出すものとなった。
オバマ前大統領が核兵器廃絶を訴えていたのは周知の事実だが、そのオバマ氏でさえ、抑止自体を否定したわけではない。
敵に撃墜されず必ず目標を破壊することができ、しかも大量破壊兵器ではない極超音速滑空体を核廃絶の切り札とすべく、開発予算を増やしたといわれている。
しかし現在に至るまで、いかなる国も核兵器に代わる抑止力を開発できていない。今回のNPRで核の脅威がある国家として列挙されたロシア、中国、北朝鮮、イランのように、核兵器を保有する、あるいは保有したいと考える国家は後を絶たない。
オバマ氏の理想主義的な思考は、米国をして国際社会の核削減を唱道せしめたものの、その理想は達成できなかった。むしろ各国は、核兵器を増強しているのだ。
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