高齢化する日本の課題とは何か。英国の知性2人が語り合った。1人は『ライフ・シフト』(東洋経済新報社)で人生100年時代の戦略を描き、日本政府にも助言するリンダ・グラットン英ロンドン・ビジネススクール教授。もう1人は、『「西洋」の終わり』(日本経済新聞出版社)で自由主義社会の危機に警鐘を鳴らす、英『エコノミスト』の元編集長、ビル・エモット氏だ。
*これは週刊東洋経済2017年12月30日-18年1月6日合併号に収録した対談の拡大版です。
司会:東洋英和女学院大学客員教授・中岡望
構成:ジャーナリスト・長谷川高宏
――「高齢化」がお2人の著作に共通するテーマです。お2人の発言や著作からは、高齢化について、エモットさんは悲観的、グラットンさんは前向きにとらえているような印象を受けました。
グラットン 性格の違いかしら(笑)。
エモット 私は悲観的ではないと思いますよ(笑)。私が悲観的に見ているのは、われわれの社会が変化に対応していく能力についてだ。高齢化に関しては、もっと楽観的で前向きになるべきだ。高齢化は財政やおカネの問題だけではない。人生が長くなることで、これまでなかったようなチャンスが出てくる。日本は65歳以上の労働参加率が世界で最も高く、これはポジティブにとらえていい。
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