会計数値を深読みすれば、企業の倒産リスクも浮かび上がる。プロの信用調査マンはどう危機の予兆を見抜くのか。
取引企業の経済状況を把握するため、多くの会社が利用するのが信用調査会社である。取引を始めて問題ないか、今後も継続的に取引して大丈夫かなどを判断するために活用されている。
私も信用調査会社の現場で働く一人だが、日々多くの企業の決算書を入手し、分析している。そこでは、日々の地道な作業の中で、時として業績不振や資金繰り悪化の兆候が、決算書に「違和感」として現れることがある。
最近の倒産事例でいえば、エアバッグの大量リコールで経営破綻に陥ったタカタなどが記憶に新しい。ただ倒産は小規模な未上場企業でより多く見られる。具体的なケースを見ていこう。
BSに映った厳しい資金繰り
結婚式場運営のBrillia(東京都渋谷区)は2017年3月、東京地方裁判所へ自己破産を申請した。同社は未上場企業で決算情報は非公開だったが、わが社の調査によると、売り上げ規模は順調に拡大を続けていた。15年8月期の売上高は約59億円。毎期数億円の営業利益を稼いでいた(図表1)。一方で同社の貸借対照表(BS)には、厳しい資金繰り状況が映し出されていた。
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