企業の財務状況を知るうえで不可欠な「決算短信」。その開示が後退しつつある。
現状、上場企業は四半期(3カ月)ごとに決算短信と四半期報告書を作成・公表している。だが、経済界はこれまで重複する決算業務の負担などを問題視してきた。
2015年には政府の「日本再興戦略」に企業の開示見直しが盛り込まれ、短信“簡素化”の議論が進められてきた。昨年4月の金融審議会で方針が決まり、東京証券取引所が容認。今年4月から、新しい「決算短信作成要領」が各企業での決算に適用されている。
では具体的にどう変わったのか。下表のとおり、これまで取引所が開示を要請してきた(4)「経営方針」や(6)「利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当」、(7)「個別財務諸表及び注記事項」は、短信での開示の要請を取りやめた。
短信からPL、BSが消える可能性も
短信1ページ目の、財務数値を一覧にした(1)「サマリー情報」は、これまで開示が義務だったが要請に格下げ。(5)「連結財務諸表及び主な注記」は要請のまま変更はないが、表のようなただし書きがついた。その結果、短信の発表時、損益計算書や貸借対照表は掲載されない可能性が生じている。
では、実際の企業の開示姿勢に、どう変化が出ているか。企業の16年度決算発表が相次いだ5月、トヨタ自動車やホンダは配当方針の説明を削除。日立製作所は株主総会の開催日程など重要性の薄い記載を減らした。キヤノンは独自サマリー情報を短信冒頭に掲載。八十二銀行は例年5月中旬の決算発表を4月28日に早め、補足説明資料の開示を後回しにするなどした。
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