ディープラーニングの開発と活用を手掛けるプリファードネットワークス(PFN)は、国内のAI研究を牽引する有力ベンチャーだ。総務省が設置した産官学会議「AIネットワーク社会推進会議」に参加していたが、その内容がAI開発を萎縮させかねないと批判し、出席2回で脱退した。西川徹社長とともに会議の構成員を務めた丸山宏最高戦略責任者に論点を聞いた。
──会議の何が問題でしたか。
開発原則分科会でAI開発のガイドライン策定を検討していたが、議論を主導していた構成員の多くが機械学習、特にディープラーニングとは何かを十分に理解していなかったことだ。産業や企業の競争力の源泉となる機械学習をめぐる議論と、AIを漠然と恐れる議論がきちんと区別されていなかった。その結果、AIの可能性よりも脅威がより論じられていた。
たとえば事務局が提起した論点の一つに、「人間に捨てられ野良化したロボットが徒党を組み、参政権を要求したらどうすべきか」というものがあった。ここで想定しているAIは、人間と同レベルの知能を持った汎用型、いわゆる強いAIだ。だが現在の機械学習は、囲碁のような特定の問題にのみ対処できる特化型AI。そして現在の機械学習技術の延長線上には、汎用AIはない。少なくとも現時点では、野良ロボットの反乱という懸念は的外れなのだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら