中国の国防費予算が初めて1兆元の大台を突破。同時に、初の国産空母の進水も間近となっている。それでも人民解放軍内には不満が募る。
2017年3月4日、中国の17年度予算案の国防費が、前年度実績比で「7%前後」増加すると発表された。翌5日に開幕する第12期全国人民代表大会(全人代)第5回会議を前に、全人代の傅瑩(ふえい)報道官が記者会見で明らかにした。
7%の増加率は、依然、高い水準だが、中国の経済成長率に合わせたものだとも言える。中国人民解放軍にとっては、必ずしも満足できる数字ではないだろう。
人民解放軍は、10%の増加率があって初めて十分な軍備増強ができると考えているからだ。中国の国防費は、海外に展開する経済活動の保護のために、近年、海軍への配分の重要性がより高まっている。
中国の軍備増強計画は、改革開放経済が軌道に乗り始めた1980年代半ばのトウ小平氏の指示を基にしている。海軍の発展戦略も同時期に指示されたもので、最終目標である第3段階の期限は2050年である。
そして、2020年を期限とする第2段階は、海軍艦艇の建造および配備状況を見れば、空母打撃群を世界的に展開して軍事プレゼンスを示すことだと理解できる。こうした長期の目標を達成するためには、継続した急速な軍備増強が必要なのだ。さらに中国は、この長期戦略を早めなければならないかもしれない。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら