ネット通販大国の中国を支えてきた宅配便が悲鳴を上げている。今年の春節明けには、北京で大量の滞貨が発生。構造問題が浮き彫りになっている。
世界最大の取扱量を誇る中国の宅配便が、日本と同様、悲鳴を上げている。ネット通販の急増と業者乱立による単価の下落、配達員の人手不足などで収益が悪化。一部では荷物の長期滞留が起きるなど、現行のビジネスモデルは手詰まり感が強い。
今年の春節(旧正月)が明けた2月、宅配便大手の一角「圓通速逓」の北京市内の拠点で大量の滞貨が発生、ネット上には「荷物が届かない」「電話も通じない」といったクレームが飛び交った。一部メディアは「賃金不払いでストライキが発生」などと伝え、大きな話題となった。
会社側は「旧正月の従業員の帰省による一時的なもの。電話の不通はシステム更新時のトラブルが原因」などと説明し、ストライキ説を否定したが真相は不明だ。その後、業務は復旧したが、見掛けの繁栄とは裏腹に、現実の宅配便業界が厳しい状況に陥っていることを印象づけた。
中国国家郵政局によると、2016年の宅配便取扱個数は312億個で、前年比51.3%の増加。業界の総売上高は4000億元(1元は約17円)近くに達し、同43.5%の伸びと、まさに爆発的な成長を見せた。日本の取扱個数が年間約40億個だから、そのすごさがわかる。中国には現在、売上高200億元超の宅配便企業が7社、100億元超が8社あるとされ、各社の売上高も程度の差はあれ大きく伸びている。
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