公明党との緊密な連携を基軸としてきた安倍晋三政権の権力構造が変わる兆しが、国政と東京都政で相前後して現れた。この力学変化は、2017年3月の自民党大会で総裁の任期延長が正式決定されることを前提に、最長21年9月までの超長期政権を視野に入れる首相の政権戦略に少なからぬ影響を与えるかもしれない。
まず国政のほうだが、カジノを含む統合型リゾート整備推進法案(カジノ解禁法案)をめぐってそれが起こった。14日の参院採決に当たって、公明党の山口那津男代表らが反対票を投じたのだ。
カジノ解禁法は、これを成長戦略の柱に据える安倍首相ら官邸側と自民党が主導している。党内に賛否両論を抱える公明党は自主投票となったが、自民党との連立の責任者である党首の反対は、事実上「造反」の意味合いを帯びてくる。
ここで着目すべきは、山口代表が反対したことより、連立パートナーの責任者が事実上造反に回ってもいいと見切った安倍首相と自民党側の姿勢であろう。安倍首相と自民党はこれまで、公明党内がまとまらず分裂するような問題を強引に推し進めることはなかった。
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