私自身、今回の参院選では市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)の言い出しっぺとして野党結集を呼びかけ、1人区を中心に全国を走り回って野党候補を応援した。今の与党に3分の2以上の議席を参議院でも与えることは日本の立憲民主主義を破壊するという危機感ゆえだった。この観点で言えば、今回の参院選は野党の敗北である。私たちの危機感を国民の多数が共有しなかったことは、野党と私たち市民団体の力不足というほかない。
自民党の比例票は2000万票を超え、首都圏の選挙区では複数当選を実現した。公明党も完勝であった。無所属議員の入党を加えて、選挙後の自民党は参議院でも単独過半数を回復した。思い起こせば1989年の参院選における自民党大敗から日本政治の動乱が始まったのだが、安倍晋三総裁はこれに終止符を打ったということになる。
もちろん衆参いずれの自民党議員も、選挙の際には公明党の協力に頼っているので、単独過半数の回復が連立の解消につながることはないだろう。それでも憲法や安全保障問題で自民党が公明党とは異なる政策を追求する場合、公明党の抵抗力が一層低下することはありうる。選挙戦では憲法問題を封印した安倍首相だが、選挙が終わった途端に自民党の憲法草案をベースに憲法改正論議を進めたい意向を明らかにした。今後自民党が打ち出す改憲論議については、国民との間におけるインフォームドコンセントの欠如という批判を続けていくしかない。
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