11月の米国大統領選挙後も、先進民主主義国の動揺という現象は世界的な連鎖をなしている感がある。
フランスの次期大統領選挙に現職のフランソワ・オランドが出馬しないことを表明し、イタリアでは憲法改正をめぐる国民投票で現政権の提案が否決されてマッテオ・レンツィ首相が退陣を表明した。また、韓国では国会が朴槿恵(パククネ)大統領の弾劾を可決した。
欧米では既成政党の外側で新興勢力が台頭し、政権は反既成政治の国民的不満に耐えられなくなっている。大統領選挙や国民投票のように、全国民が一つの争点について投票する選挙では、反既成勢力が多数派になりやすい。
私自身の関心に照らせば、一連の事態はこの25年ほど西欧で追求された中道左派政治、あるいは米国におけるニューデモクラット路線の破綻を意味する。1980年代以来、サッチャリズムあるいは新自由主義が金融資本主義の隆盛と引き換えに雇用の安定や社会的平等を崩壊させた。対して、かつての左派は経済のグローバル化を受け入れつつ、公平性の維持と公共サービス持続を目指して、第3の道あるいは市場と共存しうる社会民主主義を提起した。
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