
昨年10月、受注最右翼の日本を退けインドネシアへの売り込みに成功した中国の高速列車(左)と中速列車の模型(AFP=時事)
日本国内では新幹線の技術は世界一だと報道されることが多いが、はたしてそうだろうか。敵を知らず己を知らざれば戦うごとに必ず危うし。これまで新幹線をシステムごと輸出した例はない。唯一の例として紹介される台湾高速鉄道も日欧のシステムが混在しており、日本製かつ日本の流儀で構築されたシステムで主要なものは車両だけである。
鉄道はいわば土着の交通機関。日本は優秀な要素技術をたくさん持っているが、日本のシステムをそのまま外国に持ち込んで、うまくいくとは限らない。近年、日本の新幹線のシステムを丸ごと輸出しようとする動きがある。それで成功すれば大いにけっこうだが、そのやり方が通用するのは地球上にほんの数カ所しかないだろう。システム一括輸出というやり方は日本の鉄道が進むべき王道ではないと考える。
新幹線の技術が海外で評価されない理由
1964年に開通した日本の新幹線は世界の高速列車の嚆矢である。現在に至るまでたゆまぬ改良を重ね、遅れがほとんど1分以内という定時性は新幹線の完成度を示す大きな指標である。視察に来た海外の鉄道関係者はこれに驚嘆し、全員が拍手を送ってくれる。
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