昨年12月にインドで開催された日印首脳会談で、日本の新幹線方式がインド・ムンバイ─アーメダバード間の高速鉄道に採用されることが正式に決まった。海外における新幹線方式の採用事例は2007年の台湾に続く2例目となる。
「新幹線方式の優位性が証明された」。こんな見方も相次ぐが、そう単純な話ではない。「海外の高速鉄道案件は国家間の駆け引き抜きには進まない」と、日本鉄道車輌工業会の佐伯洋専務理事は言い切る。高速鉄道の受注には技術力だけでなく、さまざまな要件が絡む。確かに昨年9月、受注を目前に土壇場で中国に受注をさらわれたインドネシア・ジャカルタ─バンドン間の高速鉄道案件においても、決め手は技術力の差ではなかった。
さらわれたという表現は適切ではないかもしれない。「日本は負けたわけではない」と、日本のインフラ輸出を資金面から支援する国際協力銀行の前田匡史専務は語気を強める。
日本が提示した案は総事業費が約64兆ルピア(約5300億円)。うち約4分の3の金額はインドネシア政府に対して返済期限40年で年利0・1%の低利融資を行うという破格の条件だ。これに対し中国の提案は、総事業費約74兆ルピア(約6137億円)、融資額の年利も2%でいずれも日本よりも劣るものだった。
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