北陸新幹線の未完成区間は金沢─大阪間。このうち、金沢─福井─敦賀間は2022年開業に向け用地買収や準備工事が本格化してきた。
ただ、敦賀─大阪間に関しては、ルートすら決まっていない。「小浜ルート(若狭ルート)」「湖西ルート」「米原ルート」に加え、昨年突然追加された「小浜・京都駅ルート」「舞鶴ルート」の5案が候補とされ、「小浜経由は既定路線」「米原のほうが経済性は高い」と、近畿や北陸の政財界関係者が思惑込みの発言を繰り返してきた。
北陸新幹線の計画がスタートしてから40年以上経つ。新幹線金沢開業前、金沢から大阪方面への「サンダーバード」の利用者数は、東京方面へ向かう「はくたか」などの1・7倍を記録していた。その潜在的需要の高いルートがなぜ決まらないのか。その事情をひもといていこう。
小浜ルートの陰で“原発”が取引材料に
北陸新幹線の基本計画が1972年に公示された段階から、ルート問題は表面化していた。
原因は福井県である。当初は米原経由で進んでいたが、最終段階で福井県知事が「小浜ルート」を主張し始めたのだ。県知事は当時の田中角栄首相への直談判を繰り返す。そして、73年の整備計画で、北陸新幹線は「小浜市附近」経由と明記される。敦賀市や若狭地区では原発に反対する声もあった。迷惑施設を引き受ける材料として、電源三法交付金制度と北陸新幹線が示された。田中首相の意向が強く反映されたと伝えられている。
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