三菱商事、三井物産の名門2社が戦後初の赤字に沈む──。2015年度は総合商社の歴史に刻まれる不名誉な年となった。
3月下旬、三菱商事と三井物産は急きょ会見を開き、それぞれ4300億円、2800億円もの減損損失を開示。その結果として、15年度は三菱商事が1500億円、三井物産が700億円の純利益赤字に転落すると業績見通しを下方修正した。
損失を生んだ原因は、LNG(液化天然ガス)、鉄鉱石、銅、石油開発など資源分野の多岐に及んだ。
その中でも、今回両社が出資し最大の減損額を計上したのが、チリの銅鉱山事業、アングロ・アメリカン・スール(AAS)だった。
ここはかつて、三菱商事と三井物産が競うように参画した因縁の案件だ。
AASは世界最大級の銅鉱山。もともとの所有者は、資源メジャーの英アングロ・アメリカンである。11年にアングロ・アメリカンが三菱商事に一部権益の売却を打診、三菱商事は約4200億円(当時)をかけて24・5%の権益を取得した。
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