この十数年は、総合商社の経営環境が極めて異常な時代だった。世界的な金融緩和で誰でも安く資金が使え、それが中国をはじめとした新興国に大量に流れ込んだ。当社では35歳から45歳くらいの、いちばん働いてもらわないといけない中堅層の社員が、こうした環境を当然のものとして育ってきた。
その流れが去年くらいから逆回転を始めている。投資に対する感覚を切り替えないと危ない、という危機感を持っている。
総合商社の間でもそれぞれの会社で、戦略が変わってくることだろう。資源と非資源というような大ざっぱなものではなく、もっと緻密な、メッシュの細かい戦略が問われている。
その中で丸紅の強みは何かを考えると、電力・インフラや農業資材、穀物といったところ。中国は強くないかもしれないし、コンビニを持っていない国内流通は弱みの部分でしょう。資源の規模はまずまずだが、三菱商事や三井物産に比べてコスト競争力には歴然とした差がある。
いま丸紅に必要なのは、過去5年とか10年の間に投資したもの、あるいは新しく手掛けたものの総点検だ。象徴的な案件は米ガビロン。戦略が間違っていなくても結果の出ていない案件があるのは事実だ。投資するための労力は2割で、その事業を地道に仕上げていく残り8割の努力が欠かせない。「資産の優良化」と言っているが、こうした取り組みを徹底する。
新しい中期経営計画では3年間で1兆円を投資するとしているが、そのために負債と総資産を増やすという考えはまったくない。フリーキャッシュフローは黒字にするのが前提で、「1兆円の投資余力をどうやって作るのか」を最優先に考えている。
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