バブル経済末期の1991年にある総合商社に入社した女性総合職は「“男”になるか事務職(一般職)になるか、私たちの時代は二つの選択肢しかなかった」と振り返る。男性の同僚が「男芸者」と揶揄されるような泥臭い接待営業に明け暮れる中、採用が年間数人レベルで超少数派の女性総合職には男性と同様の働き方が求められた。
2000年代に入ると女性総合職の採用は大きく増加した。今や大手5社全体では、総合職として入社する社員の2割前後が女性だ。一方で大手5社では一般職の採用を一時は中断、その後も絞っている。そのこともあって女性総合職の存在感は確実に大きくなった。

それでも10年ほど前までは、「20代のうちに結婚、出産したいなどと上司の前で言える雰囲気ではなかった」と30代の女性総合職は漏らす。出産や育児で業務を任せられない状況になることを避けるため、女性の登用に消極的な管理職はどの業界にもいる。海外への赴任や出張が必須の総合商社ではなおさらだ。
活躍できない女性が増えるほうがリスク
中でも女性の活用で他社より一歩遅れているといわれていたのが住友商事。しかし、全社員に占める女性総合職の割合が高まるにつれて、「活躍できない女性が社内に増えていくほうが経営上のリスクになる」(住友商事人事厚生部の本山ふじか課長)と考えるようになったという。
住友商事入社11年目の加古紗理さんは2年前、当時2歳の娘を連れて米国フロリダ州に渡った。100%出資の子会社での1年半の研修を上司から打診されたとき、夫と両親に子どもを預け単身で行くか、子連れで行くかで迷った。行かないという選択肢はなかった。出産・育児休暇中に多くの同期が海外に飛び出し経験を積んでいた。「収益の源泉はほぼ海外。負けられない、早く海外に行かなければという焦りがあった」と加古さんは言う。
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