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責任は増すばかり 産業医の実像 「中立的な専門家」は本当か

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「えっ、先生がやってくれるんじゃないの?」 実施に向け、多くの企業がストレスチェック制度の準備に本腰を入れ始める中、人事・総務担当者の愕然とした声が上がっている。これまで社員の健康管理を担ってくれていた産業医が、ストレスチェックの実施者になることを拒むケースが相次いでいるのだ。

労働安全衛生法は常用従業員50人以上の事業所に産業医の選任を義務づける。1000人以上の事業所と有害業務を扱う500人以上の事業所は専属医を、それ以外は非常勤の嘱託医を置かなければならない。

複数の企業で嘱託医を務めてきた50代のベテラン女性医師は、こう打ち明ける。「ストレスチェックの面接で勤務は可能と判断した社員が、後でうつなどになった場合、判断を下した私の責任はどこまで追及されるのか。万が一提訴され裁判で損害賠償が命じられた場合、医師賠償責任(医賠責)保険から費用は支払われるのだろうか」。

医賠責保険は基本的に治療行為に伴って生じた損害賠償を補填するもので、面接は対象外となるのが一般的だ。女性医師は責任の範囲がもっと明確になり、保険でも間違いなくカバーされるまでは、実施者を辞退しようと考えている。

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