ケリー・マクゴニガル 心理学者
心理学で有名な「タンポポとラン」の例えをご存じだろうか。人間には二つのタイプがあり、タンポポ型は生まれつきストレスに強く、貧困や虐待など過酷な経験をしてもたくましく育つ。一方、繊細で周囲の影響を受けやすいラン型は、育つ環境によって成長後の姿が大きく変わる、という話だ。
では結局、ストレス耐性は生まれつきの能力なのか? あきらめるのは早計だ。近年、実はストレスこそが困難を乗り越える力になりえるという研究が複数発表されている。
ストレスは心身に悪いものというのが一面的な思い込みで、人に力を与えるものでもあるなら──。「その恩恵を最も受けるのはストレスを受けやすいラン型」と指摘するのは米スタンフォード大学の心理学者、ケリー・マクゴニガル教授。ストレスに悩む人にとって朗報ともいえるこの考え方を、来日したマクゴニガル教授へのインタビューと近著『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』を基に伝える。
レジリエンスを鍛えるにはストレスを受け入れよ
人の脳はストレスを受けたときにどう反応するのか。マクゴニガル教授によると、反応は「闘争・逃走反応」「思いやり・絆反応」「チャレンジ反応」と大きく三つに分かれる(図1)。
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