山本 昌 元・中日ドラゴンズ投手
プロ野球界のレジェンドと呼ばれてきた山本昌(まさ)が、50歳を迎えた2015年かぎりで、32年間着続けた中日ドラゴンズのユニホームを脱いだ。球界最年長選手の現役引退である。
「悔いはあるけれど、後悔はしていない。もう一度やれと言われてもできないような、奇跡のような野球人生でした」
見た目どおりに温厚で明るい性格で知られる山本は、9月30日に開かれた引退会見でそう言い切った。ストレスの影などみじんも感じさせない晴れやかな表情。だが長らく勝負の世界に身を置いてきた彼が、重圧を感じてこなかったはずがない。
プレッシャーをどうやってはねのけてきたのか。ストレスとどう向き合ってきたのか──。山本のプロ野球人生を振り返りながら、彼のメンタルテクニックに迫りたい。
野球で結果が出ずストレスを実感
山本は1984年、ドラフト5位指名を受けてドラゴンズに入団した。球速は遅く、武器となる変化球もない。無名の高卒ルーキーは、周囲の期待という重圧からは無縁の状況でキャリアをスタートさせた。
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