9月21日、フォルクスワーゲン(VW)の米国法人が開催した新型セダン「パサート」の発表会。ニューヨーク・マンハッタンの摩天楼を川越しに望む会場で、待望の新モデルを華やかに祝うはずだった。
しかし、メディアの前に現れた同社のミヒャエル・ホルン社長は、神妙な面持ちでこう切り出した。
「われわれは大変なことをしでかしてしまった」 事の発端は3日前のことだった。
発覚 不正ソフトはNPOが見抜いた
9月18日、VW米国法人の担当者の元に2通の手紙が届いた。中身は「法令違反通知」。一つは米国環境保護局(EPA)、もう一つはカリフォルニア州大気資源局(CARB)からだった。
「VWは、排気量2リットルのエンジンを積んだ2009~15年型のディーゼル車に、ディフィートデバイス(無効化機能)を組み込んだ。米国大気浄化法に違反する」 EPAは同日、全米で08年以降に販売された48.2万台が法令違反だと公表。22日にはVWが、全世界の対象車が1100万台に上ると言明した。ディーゼル車が市場全体の半分を占める欧州で最も多い。
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