難民 難民受け入れは「恩返し」 多様性はドイツを豊かに
ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン 駐日ドイツ連邦共和国大使
ドイツ政府は今回、難民を積極的に受け入れることを表明した。ドイツは第2次世界大戦後、ナチスの恐ろしい犯罪にもかかわらず、国際社会に受け入れてもらった。25年前の東西ドイツ統一でも隣国から温かい支持を受けた。メルケル政権や多くのドイツ人が考えているのは、「今、恩返しのときが来た」ということだ。
ドイツ人は自分自身でも驚いている。映像をご覧になったと思うが、駅に到着した難民に大きな拍手をし、花束を渡して駅は歓迎ムードにあふれていた。おそらくドイツでは今まで例のないことだ。ドイツ人の多くが今、自分の国に誇りを持っている。私もその一人だ。
強調しておきたいのだが、難民に花束を渡す市民やメルケル首相の念頭にあるのは、損得勘定ではなく、手助けをしたいという気持ちだ。ドイツは経済的にも豊かな立場にある。われわれは難民を支援するべきであるだけでなく、支援が可能であり、支援の責任も感じている。
ただ、ドイツが難民をどこまで受け入れることが可能なのか、どのレベルなら十分なのか。その議論は激しくなっている。難民が数多く入ってくると、ドイツは自分のアイデンティティを失うのではないか、どの地域で受け入れたらよいのか。そういう不安はやはり無視できない。
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