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時代に逆行した独裁経営の弊害 ガバナンスはなぜ機能しなかったのか

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ガバナンス改革が進んだドイツでもフォルクスワーゲンの不正は防げなかった。

ピエヒ(右)もヴィンターコルンも“独裁者”だった(Volkswagen AG)

特集「VW(フォルクスワーゲン)ショック」の他の記事を読む

「面白いソフトを開発したので、ちょっと見てみてください。ただ、車には使わないで」 フォルクスワーゲン(VW)が排ガスに関する不正ソフトウエアをディーゼル車に導入した2008年当時、ソフトを開発した独ボッシュ社の技術者は、VWの担当者にそう伝えたという。30人の小さなVWの研究開発グループによって、これまで問題は隠蔽されていた。

小さなグループの行為によって、会社全体が損害を被った。社内のチェック機能はなぜ働かなかったのか。コーポレートガバナンス(企業統治)の観点から検討したい。

ドイツにおけるコーポレートガバナンスは、監査役会と株主総会が、業務執行を担う取締役会を監視するのが特徴だ。株主と従業員から半数ずつが送り込まれる監査役会は、取締役の選任や会計の監査などを行う(図表1)。経営陣は事業計画の達成に努める一方、不正や犯罪を防ぐべく、監査役会に設置されたさまざまな委員会から監視を受ける。この体制に問題があれば、今回のVWのような事態を引き起こすリスクが高まる。

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