米FRBはインフレ・ターゲットを採用する可能性が高い--ディビッド・ウェッセル ウォール・ストリート・ジャーナル 経済担当エディター

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 今日のような経済状況はこれまでなかったので、中央銀行がなにもしないよりは活発なほうがいいと思うが、一方でリスクも背負い込むことになる。
 
 歴史から学ぶことはできるが、どの時期を現在に応用するのかが重要。日本のような失われた10年にならないようにしようと考えることもできる。もうひとつは1936年~37年の例。少し経済が回復したところで大幅に増税をしたり金融の引き締めを行ったりして、ここから景気が後退した。こうした例から学ばないといけないこともあるだろう。

--物価目標の導入可能性をどう見るか?

ターゲットが出される近いところまで来ていると思う。前議長のグリーンスパンはそうした数字を示すようなことはなく、インフレが問題になるのは消費者や事業者が懸念するようになったときが問題になるという考え方だった。
 
 一方、バーナンキ氏は公にインフレ率はだいたい2%ぐらいが望ましいのではないかと言っている。おそらく、本人もインフレ・ターゲットを望ましいと思っているので、アメリカはインフレ・ターゲットを出すというところにかなり近付いていると思う。

--金融危機を引き起こしたバブルは民間金融機関の取引で醸成されて破裂した。今後は先進国を中心に自国の事情で金融政策を進めることが、バブルを生じる結果にはならないか。

次のサプライズは何かということだが、それがわかっていればサプライズにならない。2000年代の議事録を見ると、グリーンスパン議長はこの低金利が続くとどこかで歪みが発生するかもしれないが、どこで起きるかわからないと言っている。
 
 ひとつ危険なのは資産バブルだと思う。中国の不動産市場ではそれが起きていると思う。先進国でもそれが起きるのかということになる。次回に大きな問題が発生した時、中央銀行が効果的な対応が取れるのかが疑問で、なかなか難しいことだと思う。
(聞き手:大崎明子、井下健悟 撮影:吉野純治 =東洋経済オンライン)

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