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“空き家大国"の虚実 総務省の統計に疑問符

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「13.5%」と喧伝された空き家率には、統計のカラクリが潜んでいた。

屋根には穴が開き、2階の床も抜け落ちている。早急に処分すべき物件だが、総務省の“空き家”には含まれない。

2014年5月。大田区役所によって、東京都内では初となる、行政代執行による「空き家」の解体が行われた。解体された物件は築47年の木造2階建て、部屋数10室のアパートだ。

入居者がいなくなって十数年。腐朽が進み、突風が吹くとトタン屋根が飛ぶなど、近隣にも被害が出ていた。区役所は、区外に引っ越していた大家に、幾度となく善処をお願いした。が、一向に改善されないまま、数年が経った。近隣の住民からは、「放火されたらどうする」など、苦情が募るばかり。放置すれば危険度が増す、との判断から、苦渋の決断となった。

今、全国の自治体で、空き家解体の機運が盛り上がり始めている。その論拠の一つとなっているのが、総務省統計局が公表している「住宅・土地統計調査」だ。調査を重ねるごとに空き家の数が増えていると報告し、13年の調査では全国の空き家総数は820万戸、空き家率は13.5%と過去最高になったと喧伝した。つまり、7軒に1軒は空き家だというのだ。

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