中期分析において、首相が示す歴史認識はとても重要になる。8月14日、閣議決定を経て戦後70年談話を安倍晋三首相が発表した。安倍首相は、本音では、こんな内容の談話を出したくなかったはずだ。安倍首相は当初、戦後50年に際しての村山談話を克服する目的で談話を出すつもりだった。
ここで障害になったのが公明党だ。公明党は支持母体である創価学会の平和主義の影響を強く受け、安倍政権が歴史修正主義に舵を切ることを本気で止めようとした。一時、閣議決定を経ない「総理の談話」という形で、安倍氏の思いの丈を述べた私的談話を発表するという動きもあったが、公明党が閣議決定を強く求めたため立ち消えになった。
結局、「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました」という「歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります」と安倍首相は明示的に確認することを余儀なくされた。ここから「安倍さんは、心の中で考えていることを正直に語っていない」という話者の誠実性に対する疑念が生まれている。これは政治家にとって命取りになりうる。
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