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東芝の背信 不適切会計とは何だったか

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1500億円以上の利益をカサ上げ。創業140年の名門を最大の危機が襲う。

会見で自身の関与は否定した田中久雄社長(当時)(撮影:尾形文繁)

「経営責任を明らかにするため、本日をもって辞任します」──。

7月21日夕。東芝の田中久雄社長は、一連の「不適切会計」問題について、会見で謝罪。冒頭で10秒以上も頭を下げ、同日付で引責辞任することを明らかにした。

調査報告を提出した第三者委員会(撮影:尾形文繁)

田中氏とともに、元社長の佐々木則夫副会長、西田厚聰(あつとし)相談役と、歴代3社長の辞任も発表。全取締役16人のうち、8人が引責する異例の事態となった。8月に新体制が決まるまでは暫定的に室町正志会長が社長を兼務する。

20日に提出された第三者委員会の調査報告によると、2008年度から14年度第3四半期まで、不適切会計の額は計1518億円に上る。自主チェック分を合わせると、利益がカサ上げされたのは累計1562億円(図表1)。従来の500億円強から、一気に3倍以上膨れ上がった。東芝は税引前利益から、3割近く減額しなければならない。

[図表1]
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しかも不適切会計の原因として第三者委は、「経営トップを含めた組織的な関与」と結論づけた。それでも田中社長は、不適切な処理を部下に命じたかと会見で問われると、「直接的な指示をした認識はございません」と自身の関与をあくまで否定。従業員の行く末に話題が及ぶと声を詰まらせる場面もあった。

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