首相官邸への侵入事件を皮切りに、日本を騒がせているドローン。増殖する飛行物体は、新産業がもたらすチャンスとリスクに日本社会がどう対応するべきかを問うている。
まるで幕末の蒸気船である。4月22日、首相官邸の屋上にドローンが人知れず侵入していたことが判明した。時を置かずして、15歳の少年が法要中の寺院境内にドローンを墜落させたり、在京テレビ局の社員が撮影用ドローンを英国大使館に不時着させたり、といった事件が相次いだ。
これらドローンの「襲来」で明らかになったのは、日本にはドローン利用に関する法規制がまったく整備されていなかったという実態だ。現行の航空法は航空機の要件を操縦士の搭乗した有人機に限定しており、ドローンのような飛行体を想定していないのだ。政策関係者は今、黒船を迎えた幕臣さながらに、規制作りを急いでいる。
消えた?議員立法 利用ルールは曖昧模糊
自民党は官邸事件の直後から、官邸や国会、中央省庁などの上空を飛行禁止区域とする規制法案の議員立法に向けて動きだした。だが、5月末に衆議院に提出され今国会での成立を目指すはずだったこの法案は、6月10日現在でも提出されないままだ。法案には公明党など複数の政党が同意したが、共産党の支持を得られず、宙に浮いたものとみられている。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待