中国主導のアジア投資銀への参加を日米は見送った。米国は中国としたたかに交渉するが、日本では技術的な問題に終始した反対論が多すぎないか。
中国の主導で設立されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーは合計57カ国となった。先進7カ国(G7)のうち英国、ドイツ、フランス、イタリアの欧州勢は参加を表明しているが、米国と日本は参加を見送った。
創設段階での参加申請は締め切られており、日本がこれから参加しても理事国のポストを得られる可能性はほとんどない。新しい経済・金融秩序の枠組みの中で、米国と日本の影響力は低下するかもしれない。
AIIBの設立では参加申請の締め切り直前に雪崩を打つように多くの国が参加を表明した。日本は創設メンバーに入らなかったが、中国と何らかの交渉はしていたのかもしれない。福田康夫元首相は、中国政府が提唱する「アジア版ダボス会議」ともいえる「ボアオ・アジアフォーラム」の理事長として、3月下旬に訪中しており、習近平国家主席などと会っている。
日本での報道のされ方を見ると、AIIBに参加すべしとの論もあるが、それよりも組織形態や運営についての問題点がクローズアップされている印象が強い。理事会の構成や意思決定のプロセス、透明性、投資と環境保護とのバランス、腐敗防止といった事柄である。だがどれも技術的なもので、経済外交において日本の戦略目標がどこにあるのかを論じたものはほとんどなかった。
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