ソフトバンクや三菱商事などIFRSを導入した日本企業が、これまでの常識を覆すような減損がらみの会計処理を繰り広げている。日本や米国の会計基準の発想からするとそれらは謎だらけといえる。どういう考え方に基づいているのか、会社側はどう説明しているのか、会社側の説明は十分なのか。関係者の数々の証言を基にじっくりと見ていこう。
ソフトバンク傘下で米国携帯3位のスプリント。同社は2014年10~12月期決算で約2500億円の巨額減損を計上し、大幅赤字に沈んだ。しかし、親会社のソフトバンクの連結決算において減損の計上は「なし」。通常、子会社で生じた損失は親会社でも計上されるはずだが、いったいどういうことなのか。
スプリントは13年7月、ソフトバンクが約1.8兆円を投じて買収した企業だ。「いずれ世界一になる志はある」と語る孫正義社長にとって、本格的な世界戦略の第一歩だった。しかし、米国は上位2強のベライゾンとAT&Tがシェア7割を握る寡占市場。4位のTモバイルUSも派手な販促で顧客獲得を進めるなど、スプリントは劣勢が続いていた。
「減損の兆候あり」と判断された理由は複数ある。直接のトリガーとなったのは株価の下落だ。14年11月上旬まで6ドル台で推移していた株価が12月には一時3ドル台に下落。同月、大手格付け会社のムーディーズが信用格付けを引き下げている。事業面も、買収当初の計画を大幅に下回っていた。こうした点から減損テストに至っている。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら