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減損も戻し入れも頻繁なのがIFRS キーパーソンインタビュー(1)

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辻山栄子 早稲田大学教授

日本が減損会計を導入する際に検討部会の部会長を務め、また米国の現行減損会計導入時にFASB(米国財務会計基準審議会)に国際フェローとして滞在していた早稲田大学の辻山栄子教授は、当時を知る数少ない内部関係者だ。その辻山教授に真相を証言してもらった。

つじやま・えいこ●早稲田大学卒、東京大学大学院修了(経済学博士)。2003年から現職。国税審議会会長、企業会計基準委員会(ASBJ)委員、公認会計士・監査審査会委員、企業会計審議会委員、金融審議会委員、IASB基準諮問会議(SAC)委員を歴任。(撮影:今井康一)

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──減損会計が日米で導入されたときの経緯や背景を聞かせてください。

日本と米国とでは導入経緯のベクトルが逆です。プロの経営者が多く存在する米国では、経営者が交代する際、可能なかぎり簿価を切り下げようとします。大きな損失が出ますが、翌期には償却費が軽くなり、利益が出やすくなります。するとV字回復を演出できる。そういうことへの歯止めとして、厳格な減損の手順を導入したのです。

逆にバブル崩壊後の日本では、含み損を表に出させるための導入でした。

結果としては、どちらも、二度と戻らないことがはっきりした段階でしか減損として落とさない仕組みになっている。だから、過去に減損した資産を戻し入れるということはしない基準になっています。実務への負担も配慮した結果です。

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