辻山栄子 早稲田大学教授
日本が減損会計を導入する際に検討部会の部会長を務め、また米国の現行減損会計導入時にFASB(米国財務会計基準審議会)に国際フェローとして滞在していた早稲田大学の辻山栄子教授は、当時を知る数少ない内部関係者だ。その辻山教授に真相を証言してもらった。
──減損会計が日米で導入されたときの経緯や背景を聞かせてください。
日本と米国とでは導入経緯のベクトルが逆です。プロの経営者が多く存在する米国では、経営者が交代する際、可能なかぎり簿価を切り下げようとします。大きな損失が出ますが、翌期には償却費が軽くなり、利益が出やすくなります。するとV字回復を演出できる。そういうことへの歯止めとして、厳格な減損の手順を導入したのです。
逆にバブル崩壊後の日本では、含み損を表に出させるための導入でした。
結果としては、どちらも、二度と戻らないことがはっきりした段階でしか減損として落とさない仕組みになっている。だから、過去に減損した資産を戻し入れるということはしない基準になっています。実務への負担も配慮した結果です。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら