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IFRSの不可思議 実態と理想の乖離

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IFRSは世界単一の基準で世界の企業同士、財務諸表を比較できるようにする理想を掲げる。だが実態と理想とは著しく乖離しているようだ。

(1)旭硝子・日本板硝子

同業なのにこんなに違う営業利益の中身

国内ガラス業界で1位、2位の旭硝子(以下ASG)と日本板硝子(同NSG)。共にIFRS適用会社だが、両社が営業利益として公表している数値は、実は単純に比較できない。異なる産業で、ビジネスモデルがまったく違うのであればまだしも、同じ業界内でさえ利益構造を表す言葉の定義からして違うのだ。

たとえば、NSGは「収益または費用に関する項目が金額的に重要な場合、その内容と金額とを“個別に開示”しなければならない」というIAS(国際会計基準)1号97、98項に準拠する形で、リストラ費用や減損損失を「個別開示項目」として営業利益に含めている。これに対しASGは「事業構造改善費用や減損損失は変動するものなので、営業利益に含めると継続的な比較ができない」とし、これらの収益を含むものは「事業利益」として開示している(図表1)。

[図表1]
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本業の好不調、回復度合いなどを測る指標として最も適しているものとして、ASGは営業利益を、NSGは個別開示項目前営業利益を挙げる。そういわれると、なるほどASGの営業利益とNSGの個別開示項目前営業利益とは、比較できそうに見える。

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