企業業績の改善が景気回復につながるのか否か──。この問いを検証するには、業績改善の主因や、内需拡大につながる素地が整っているかを確認する必要がある。
2000年以降の景気回復局面における企業業績と国内景気動向の特徴を見ると、まず08年リーマンショック以前のいわゆる「いざなみ景気」は、輸出主導で戦後最長の景気回復局面となった。もっとも、当時は資源価格高騰で変動費が増加したことで賃金上昇が抑制された。その結果、名目の個人消費は伸び悩み「実感なき景気回復」ともいわれた。
リーマンショック以降の景気持ち直しの際も、企業はリストラによって収益体質を強化する一方、人件費抑制の影響を受けて雇用・所得環境の改善が遅れたため、やはり名目の個人消費は低迷が続いた。さらに円高進行などを背景に、いざなみ景気の牽引役となった製造業輸出企業が生産拠点の海外移転を進めた結果、国内での設備投資も低迷し、景気回復ペースは緩慢となった。
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