売上高の50%以上は世界トップシェアの独自製品群。規模は小さくともニッチ化学市場に特化し、圧倒的な強みを発揮する。それがクラレだ。2015年12月期の連結売上高予想は5400億円。繊維トップ、東レの4分の1だが、売上高営業利益率は11%強と東レの約2倍の水準。純利益は過去最高を見込んでいる。
強さの秘訣の一つは事業ポートフォリオを大胆に組み替えてきたことにある。しかも、自社開発技術でそれを成し遂げている。東レと同じ1926年創業の同社の祖業はレーヨンだった。しかしその後、合成繊維のビニロン、ポバール(機能性樹脂)、クラリーノ(人工皮革)と新分野へ次々乗り出し、現在のメイン事業は液晶ディスプレーや建築用ガラスなどに使われ、利益の7割をたたき出すビニルアセテート事業。今年1月に就任した伊藤正明社長は「(当社の歴史は)苦労して苦労して、事業のポートフォリオの中身を入れ替えてきた歴史」と振り返る。
伊藤社長が入社した80年当時、クラレの売上高の8割強が繊維部門だったが、今や2割にすぎない。「海外の機関投資家からはなぜ繊維をやめないのかと聞かれるが、品質管理の観点で繊維の生産技術はよい戦力になっている」(伊藤社長)という。
事業分野の組み替えも、やみくもに模索してきたわけではない。富士フイルムが化粧品のアスタリフト、花王がヘルシア緑茶を開発したように、「何もないところから出てくる技術はない。うまくいっているものには、必ず地下茎のように技術の連鎖、連続がある。若い研究者から新技術の提案を受けた際も、“歩いていける(=既存技術に近接した)”ものならやってみよう、と話している」(柏村次史・研究開発本部長)。
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