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『セックスと恋愛の経済学』 『人と企業はどこで間違えるのか?』ほか

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セックスと恋愛の経済学
セックスと恋愛の経済学(東洋経済新報社/313ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Marina Adshade●カナダのブリティッシュ・コロンビア大学講師。カナダのクイーンズ大学にて経済学博士号を取得。2008年に学部生向けに「セックスと恋愛の経済学」講座を開講。同講座が人気を博し、ブログ「ダラーズ・アンド・セックス」(marinaadshade.com)を立ち上げた。

親密な関係から米国社会の変化を解き明かす

評者 早稲田大学政治経済学術院教授 原田 泰

セックスと恋愛は、当然、子どもと結婚に結びつく。結婚は社会の重要な制度であるから、本書は、社会変化の経済学書でもある。ディズニー映画の最近のヒット作の教訓は、王子様を信用するな、16歳の恋なんてあてにしてはいけない、だった。映画からも見える米国社会の変化を、経済学で理解できるというのが本書である。

本書は、三つの物語に分かれている。第1は若くて奔放な暮らしである。いわゆる性革命は婚前交渉の費用と便益の計算から起こったという。もちろん、避妊の手段が開発されたからだが、大学で女子学生のほうが多くなったことから女子学生の立場が弱くなったことも貢献していると考える。多くなったものの価値が低下するという経済法則が働いているわけだ。すると、風紀の乱れを正すには、男子学生を増やして、その立場を弱めたほうがよいことになる。

避妊法が発達しているのに未婚で妊娠する女性は減っていない。シートベルトで自動車の安全性が高まれば、より危険な運転をする動機が生まれるという人間行動への経済学の理解通りのことが起きているとする。

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