妊娠を報告しても「おめでとう」と言われない職場がある。「この忙しい時期に何を考えているんだと言われた」「切迫早産で入院中に解雇したいと言われた」──。心ない言葉に傷つき、仕事を辞めざるをえなかった人もいる。
妊娠によって職場で嫌がらせや不利な処遇を受ける、マタニティハラスメント(マタハラ)が注目されている。日本労働組合総連合会(連合)は、5月13~15日にマタハラに関するネット調査を、同月27~28日に「働く女性のための全国一斉労働相談ダイヤル」を実施した。2日間のキャンペーンでは過去最多の677件の相談が寄せられ、女性が妊娠・出産を経て働き続けることの困難さが浮かび上がってきた。「こんな啓発するな。妊娠したら辞めればいいんだ」という男性からの電話もあったという。
「女女格差」という言葉があるが、マタハラでは顕著に表れる。育休や時短勤務の制度を気兼ねなく利用できるのは、公務員や企業規模の大きい会社の正社員ばかり、との指摘が聞かれる。逆に、制度を利用できる女性をねたんだり、特権階級呼ばわりするのも、ハラスメントといえるだろう。同じ社内であっても、総合職の女性には言わないのに、一般職の女性には「仕事を続けるの?」と聞いたりする例もある。
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