--日本にスーパーマーケットを持ち込んだダイエーの中内功さんは、社会に意義があることをやっているのでご自分をベンチャー経営者だとおっしゃっていました。ある意味、日本を代表するイノベーターの1人だと思うのですが、どう評価されますか。
確かに後半は問題があったかもしれませんが、中内さんがいなければスーパーは日本に存在していません。今の流通業の流れもなかったでしょう。
あんなにすごいイノベーターを非難するなんて日本はいい国ではない、住みたくないとさえ思いましたね。
日本は高度経済成長に入って何十年も経ち、効率化を図る人間や企業が最も成果を上げてきました。放っておいてもアーカイブのキャッチアップが好きな人が評価される文化になっているんです。挑戦意欲が強いイノベーターは本当に損ですよ。
特に大企業に入ると、能力を押し殺すか、やるべきことをやらないで文句ばかり言う人になりかねません。しかも失敗を繰り返すケースが多いので、非難の対象になりやすい。会社を挙げて守らないと死んでしまいますので、私は全力で守ります。新規事業などは失敗が付きものですから、失敗を許容し、プロセスを見て評価してあげることが大切です。
その代わり、アーカイブを守らない分、どんな革命的なことをしてくれたのかという点は厳しく追及しています。逆に、キャッチアップが好きなマネジメント志向の強い人間を私は一切評価しません。その手の人間が評価される環境ではイノベーターが激減してしまいますからね。
--イノベーターを育てるコツはありますか。
成功するまでひたすらやらせ続けて伸びる人と、こまめにフィードバックしてあげて伸びる人とタイプの違いはありますが、どちらも育ちますよ。