議員辞め「経営専念」、弁護士ドット元榮氏の真意 代表復帰、次の参院選「不出馬」の胸の内を聞く

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一度は離れた弁護士ドットコムの代表に復帰した元榮氏(撮影:尾形文繁)
弁護士ドットコムの創業者で、参議院議員の元榮太一郎氏。2020年9月、兼業が禁止されている財務大臣政務官就任に伴い同社の取締役から外れていたが、政務官退任後の2021年12月、取締役に復帰。代表権を持つ会長に返り咲いた。
元榮氏は、今年7月にも予定される参議院議員選挙へ出馬しない意向を表明している。今後は弁護士ドットコムの経営にどこまでかかわるのか。本人に聞いた。

国家運営と会社経営はけっこう似ている

――代表権を持つ会長に復帰して、最もやりたいことは何ですか。

端的に言えば、成長戦略の重要な担い手になりたい。

政治の世界でもよく成長戦略といわれるが、成長戦略を実現するのは、結局は民間。国の中にいては成長戦略を描ききれないもどかしさがあった。渋沢栄一ではないが、政治家として国家観を磨き上げたうえで、企業の代表として経済成長を牽引する、ということ。使命感を持って戻ってきた。

――資本家として弁護士ドットコムを見守るという選択肢はなかった?

それは一瞬たりとも考えたことがない。自分がいちばん汗をかいて、事業を引っ張っていくという姿しか想像はつかなかった。

そもそも創業した会社の代表、それどころか取締役まで離れていたことが非常事態。財務大臣政務官として兼業が禁止されており、役職を離れざるをえなかったが、それはあくまで例外的な期間だ。僕は、この会社にフルコミットしている。そこは速やかに戻るのが大事なことだった。

――政治家として活動している間も、弁護士ドットコムのことは頭から離れなかった?

離れなかったですね。当然、政治に全力投球していたので、現場の経営実務はすべて任せていた。ただ、国家の運営と会社の経営はけっこう似ている。ここが共通点で、ここは違う、みたいなことをつねに考えていた。

弁護士という立場を含め、「3つの立場が同時にできるのか?」「どういう時間の使い方をしているのか?」とよく聞かれる。その時はいつも、「全部100%です」と答えている。

経験したことは、いずれの立場にも生かせる。例えば、政治家として郡部の人たちとお酒を酌み交わしている時も、こういう人たちに弁護士ドットコムのサービスを使ってもらうにはどうしたらいいかと考えてみたり。政治家として等身大の国民の方々に接することができたのは、経営者として大きな糧になった。

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