BMWを"味方"につけた特殊なタイヤ ブリヂストンが7年近くかけて開発

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これらの解決策として取ったのが剛性アップ、新しいトレッドパターン(タイヤ溝)の開発、大径化の3つだ。

従来の低燃費タイヤより大幅に剛性を高め、変形によるグリップ力の低下を防いだ。トレッドパターンは既存の低燃費タイヤよりも溝体積を減らした。この溝を減らすとグリップ力は向上するが、排水性の低下やエネルギーロスが生じる。だが、狭幅化や高剛性化が排水性やエネルギー効率にはプラスと働く。ただ単に狭幅化や高剛性化すると乗り心地が悪化するが、これを大径化で回避した。

あちこちでトレードオフが生じる複雑な方程式。独自の計測システムをフル活用し、デメリットを最小に抑えつつ、メリットを最大限引き出し、燃費性能とグリップ性を高い次元で両立したタイヤの開発にメドがついた。

課題は標準装着の拡大

ただ、問題が残されていた。タイヤが特殊なサイズであるため、既存の自動車には装着できないのだ。だが、まったく新しいEVを開発していたBMWがこのタイヤを採用。標準装着を前提にi3が開発された。

BMWのEVに装着されたことで、この新型タイヤは一定程度アピールできた。実際、いくつかの会社から引き合いもあるという。だが今後、どれだけ採用を拡大できるかはわからない。車体設計の段階からカーメーカーとの協同が必要であるなど、これまでのタイヤの売り方とは大きく異なるからだ。「もう1段も2段も性能を引き上げていく」と話す桑山フェロー。激化する一方の燃費競争の中で、国内外の自動車メーカーが目を向ける可能性はありそうだ。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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