鉄道のDNAが生きるバス「ひたちBRT」 東京も導入?渋滞無縁の「未来の街バス」とは
「BRTの優位性を活かすためには、あくまで専用道の確保が必要。鉄道跡地がない鮎川〜日立間も、ルートは未定だが、基本的に専用道を確保したい」(関氏)。
専用道があっても、一般道で渋滞にあたれば定時性は確保されない。日立市の道路交通事情は、それほど深刻なのである。そうなると、なぜ日立電鉄の廃止をあれほど急いだのかと思わずにはいられない。それとも、線路跡があるうちにBRT構想が具体化したのが幸運だったのだろうか。
住民参加の仕組みづくり成功、開業後上々の滑り出し
第Ⅰ期区間として開業した大甕駅前〜おさかなセンター間は、延長約3.2キロメートル。廃線跡を使った専用道は1.3キロメートルに過ぎず、所要時間はわずか10分。BRT本来の特性を活かせるとは言い難い。
だが、おさかなセンターがある久慈浜地区は路線バスが少なく、鉄道廃止による影響を大きく受けた地域だ。しかも、東日本大震災の際には津波による被害を受けた場所でもある。ここと大甕駅をBRTで直結し、BRTというシステムを市民に周知することが、第Ⅰ期区間に課せられた役割だ。
住民参加の取り組みも盛んだ。開業前には沿線住民や学校、企業などが参加する「サポーターズクラブ」が組織され、住民自ら、運行ダイヤや停留所の検討などに参加している。停留所は当初700メートル間隔で設置される計画で、専用道内には3カ所が予定されていたが、サポーターズクラブなどでの提案に沿って5カ所に増えた。
バスのデザインも、沿線の日立商業高校の生徒による作品が採用され、住民の「自分たちの公共交通」という意識を高めている。
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