94万円~「新型アルト」低価格を守り続ける使命 ハイブリッド化と安全装備充実が機能面の進化
軽自動車であるため、ボディ全長と全幅は先代と変わらず3395mm×全幅1475mmだが、全高を50mm、室内高を45mm、室内幅を25mm拡大したことで、より広い室内空間が実現された。
フロントドア開口部の高さを拡大して、前席の乗降性を向上したり、最小回転半径を4.4mに収めたりと、使い勝手や取り回しのよさへのこだわりも散見される。
「げた代わりを極める」スズキとアルトの使命
多くの軽自動車がベースプライスを130万円程度とする中で、アルトが100万円を切る価格を実現したことは、厳しさを増す法規への対応、マイルドハイブリッド化や安全装備の充実、さらには材料価格の上昇などを鑑みれば、スズキの企業努力にほかならない。スズキはこの価格設定について、初代アルトの47万円という価格意識したという。
「アルトの出発点である47万円という価格を意識したいと思っているし、47万のアルトができないのかとの話もした。でも、時代が違っている。物価の上昇率を見ただけでも、20万円ぐらいの上昇があるし、法規や排ガス、燃費に対応しようとすると、当時の47万円は94万円ぐらいに相当するのではないかと思っている」
初代アルトが登場した1979年当時の大卒初任給が11万円程度であったことを考えれば、「当時の47万円は94万円ぐらいに相当する」という鈴木社長の話は、間違いではないだろう。
しかし、鈴木社長はまだ諦めてはいないようだ。「47万円を忘れていないと思っているが、まだまだ“げた代わり”を極めるという意味では、発想の転換が必要だと考えている」と、日常の足としてのアルトへのこだわりを覗かせた。
軽自動車市場は、今や高価なハイトワゴンやスーパーハイトワゴンが主流になっているが、「下駄がわりを極める」というこだわりを追求して作られた新型アルトが、縮小気味の軽セダンカテゴリー存続のカギになることは間違いない。
電動化やカーボンニュートラルが求められる時代の流れの中で、この低価格路線をどこまでキープできるのか。あるいは、アルトの特徴の1つである「軽さ」がこれから大きな武器になるのか。スズキの言う、「発想の転換」に期待し続けたい1台である。
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