「神山まるごと高専」名だたる企業が熱視線のワケ 起業家たちがつくる「15歳からの新しい学び」

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徳島県山間部の神山町に高等専門学校をつくる――クラウド名刺管理サービスを展開するSansan創業者兼代表取締役社長の寺田親弘氏が発起人となり、動き出した高専設立プロジェクト。順調に準備が進めば2023年4月、高専として約20年ぶりの新設となる「神山まるごと高専」が誕生する。すでにメルカリやサイボウズなど複数の企業や個人の寄付が集まるほか、星野リゾートやスノーピークといった名だたる企業の代表が講師を担うことが決まっている。多くの企業や起業家が支援する理由を探るべく、カリキュラムディレクターの伊藤直樹氏に、ビジョンや教育内容について聞いた。

工業大、美大、MBAを掛け合わせた教育を

名だたる企業や起業家の支援が集まる、「神山まるごと高専」(設立構想中)。同校の創業メンバー4人は皆、起業経験がある。その1人が、カリキュラムディレクターを務める伊藤直樹氏。クリエイターとして国内外で250以上の受賞歴があり、クリエイティブ集団「PARTY」を設立した起業家だ。さらには京都芸術大学情報デザイン学科教授、デジタルハリウッド大学客員教授として教壇にも立つ、マルチキャリアな人物である。

左から、寺田親弘氏(理事長)、CRAZY WEDDING創業者の山川咲氏(クリエイティブディレクター)、ZOZOテクノロジーズ元CTOの大蔵峰樹氏(学校長)、伊藤直樹氏(カリキュラムディレクター)

神山まるごと高専のコンセプトは、「モノをつくる力で、コトを起こす人」。これは発起人の寺田親弘氏が経営の最前線に立つ中で抱いていた「日本を変えていく人材像」を表現したものだが、伊藤氏自身もビジネス現場でこうした人材が今後必要になると感じていたという。

同校は、このコンセプトを体現する人材を育成するため、プログラミングを中心とした「テクノロジー」、UI・UXやアートに関する「デザイン」、そして「起業家精神」の3つを教育の柱とする。言い換えれば、工業系大学と美術大学とMBA(経営学修士)を掛け合わせたような教育を、社会の要請もダイレクトに反映しながら実践していくということだ。これまでの「一条校」ではかなわなかった、未来を生きる力を総合的に教えていく。

伊藤直樹(いとう・なおき)
1971年静岡県生まれ。早稲田大学卒業。クリエイティブディレクター、アーティスト、起業家、クリエイティブ集団PARTY代表、京都芸術大学情報デザイン学科教授、デジタルハリウッド大学客員教授、アートを民主化するThe Chain Museumの取締役、スポーツ観戦をDXするStadium ExperimentのCEO。文化庁メディア芸術祭優秀賞、グッドデザイン賞金賞、カンヌライオンズ金賞など、250以上の国内外の広告・デザイン賞を受賞

「今後、企業が成長していくためにはエンジニア、デザイナー、経営者が三位一体となってドライブをかけていく必要があります。それには、この三者がそれぞれの領域を超えたスキルを持ち、互いの理解をより深めなければなりません。成功しているベンチャー企業でも組織内で分断がよくありますが、この三者間の不理解が原因であることが多い。しかし、自分の領域を超えたスキルを学ぶプロセスがないというのが現実です」

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