日本人が簡単に「テレワーク疲れ」に陥った真因 どうすれば誰もが自律的に働けるようになるか

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──そこで重要になってくるのが、上司がどう関わるかですね。

当然ながら個人差がありますよね。どんな位置づけで仕事を捉え、今何に興味を持ち、どんな支援を欲してるのか。本人の内面にある志向に関心を示すことから支援は始まります。

本では4つのタイプに分類し、それぞれに合わせた支援を提案しました。すでに自律レベルが高い「自律型」、頑張ってこなしているけど楽しめてはいない「真面目型」、仕事の優先度が低く、与えられた分だけきちんと進める「線引き型」、仕事への明確な価値観も意欲もない「停滞型」。

最も注力すべき層は「真面目型」

──「線引き型」も支援は必要?

仕事と距離を置く姿勢が確立している場合は難しいかもしれない。でもやる気があるのに育児や介護などの制約で葛藤している人には対応してほしい。私の周囲で多いのはこちらです。例えば、後輩の相談に丁寧に応じたいけど、保育園へ迎えに走らざるをえない社員。プライベートでも職場でも役割を全うしたいとジレンマを抱える部下の、時間的・体力的リソース不足を補填すべきです。残念なのは、それに対しフィットしない対応が多いこと。上司本人の価値観を反映した見当違いの解決策、余計なお世話みたいな例がすごく多い。どんな支援なら楽になるか、真摯にヒアリングしてほしい。

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──「真面目型」は多そうですね。

遊びを見いだすことで飛躍的に向上する可能性がある、最も注力すべき層です。面白いと感じるテーマを本人が見つけ、仕事に反映されていくよう、小さなアクションを起こす機会を提供してほしい。実際に仕事を自分事化して生き生き働いてるモデルを紹介するのは有効です。面白く働くとはどういうことかイメージしやすくなる。

そして、何を身に付けると広くビジネス社会でキャリアアップできるかの情報提供も。あくまで主体は自分、という意識を維持させる。部分的支援はいいけど、上司が全部教えるのはダメ。結果がうまくいってもダメでも、「上司の指示で」になってしまう。本人がオーナーシップの意識を持つことが大切です。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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