デルタ株が中国の「封じ込め策」を突破した衝撃 強硬策とれる国家でもあっという間に拡散

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新型コロナウイルスとの戦いはいまだ終わらず……(写真:Gilles Sabrie/Bloomberg)

新型コロナウイルスとの戦いで、中国ほど勝利に自信を見せている地域はないように見えた。

人口14億の中国は昨年、ウイルスを短期間で一掃し、春には世界に先駆けて制限を解除した。人々はマスクを外し、プールパーティーに押し寄せた。ここ数カ月は複数の省で散発的に感染が拡大し、政府が対策を強いられているが、数千人を検査・接触者追跡に動員。さらにこれら地域をロックダウン(都市封鎖)することで感染を抑え込んだ。

しかし、そうした手法の効果は、どんどんと失われてきているように見える。

中国は今、武漢市で最初に感染が広がった昨年以来で最大の危機に直面している。感染力の高いデルタ株が全土に広がりつつあるためだ。デルタ株は急速かつ無症状で感染を広げることから、当局も流行を抑え込むのは従来株よりもはるかに難しいと認めている。

世界では、感染者が猛烈に増え続けている。パンデミックが始まってから感染者が1億人に達するのに1年以上を要したが、2倍の2億人到達には半年ほどしかかからなかった。

デルタ株の突破力、中国が世界に与える教訓

中国の感染者数はアメリカなどに比べればまだ少ないとはいえ、南京、武漢、揚州、張家界などで感染が新たに広がったことで、中国が採用する「ゼロコロナ」モデルの限界が露呈するようになってきた。「権威主義的な体制がパンデミックの封じ込めに疑いようのない成功をもたらした」とする中国共産党の主張が揺らぐおそれもある。

中国政府は6月に広東省で広がったデルタ株の感染を抑え込んだが、今回の感染規模はこれまでよりもはるかに大きい。デルタ株による現在の感染拡大が7月21日に始まってからの感染者数は483人と、今年1〜5月の累計感染者数をすでに上回った。8月3日の午後現在、感染は中国にある31の行政区(省や自治体)のうち15にまで広がっている。

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