アメリカの高校生が学ぶ「経済的に自立」する方法 教育、キャリア、家族などをどう考える?

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【物質的な豊かさ】崇高な精神や、心の豊かさがあればいいという人もいれば、大きな家、高級車、高価な宝石などが欲しくてたまらないという人もいる。中でも多くの人が欲しがるのが、いわゆるマイホームだ。マイホームはおそらく、人生で最も高い買い物になるだろう。自分はどのような物質的な豊かさを求めるのかということをよく考えておくと、お金の計画を立てるときに役に立つ。

【老後の生活】ほとんどの人は、人生のある時点で仕事を引退し、老後生活に入ることになる。あるいは、生涯現役を目標にしている人もいるかもしれない。職業の種類によっては、ずっと働くことが可能なこともある。私は、これから社会に出る学生や、働きはじめたばかりの若い社会人に向けて書いているので、読者の多くはそんな先のことまで考えられないと思っているだろう。今のところは、いずれ老後はやってくるということ、そして老後のすごしかたも人生の目標のひとつになるということがわかっていればいい。

ゼロからはじめる「資産」の作り方

これから資産を作っていこうとしている若い人なら、自分でしっかり勉強すれば、専門家に頼らなくても、自分の力だけできちんとしたお金の計画が立てられるようになるはずだ。一方でファイナンシャルアドバイザーや、ファイナンシャルプランナーなどと呼ばれるお金の専門家がいる。あなたもいつか、彼らのお世話になるかもしれない。今のところは必要ない人がほとんどだろうが、そういった専門家が存在するということや、彼らの仕事の中身を知っておけば、いざというときに助けになるだろう。

お金の専門家の仕事は、お金に関するアドバイスをすることだ。資格が必要な場合もあれば、そうでない場合もある。いずれにせよ、資格があるからといって、その人の言うことが全面的に信用できるというわけではない。

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まず覚えておかなければならないのは、ファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーを名乗る人の多くは、特定の金融機関や保険会社からお金をもらって契約しているということだ。だから、自分が契約している金融機関の金融商品や、保険会社の保険をあなたに売ろうとする。

もちろん、金融商品を買うこと自体に問題があるわけではなく、保険が必要になることもあるだろう。しかし、特定の会社とつながっている専門家のアドバイスを鵜呑みにすると、自分にとって本当に必要なものが選べないという事態になってしまうのだ。

でも、ありがたいことに、特定の金融機関や保険会社とは関係なく、完全にフリーで働いているお金の専門家はたくさんいる。彼らはアドバイスというサービスに対してお金をもらっているので、自由な立場で、あなたが本当に必要としているものを教えてくれるだろう。あなたが料金を払い、彼らがあなたのために計画を立てるという関係だ。

また最近では、アルゴリズムを使って、それぞれの顧客に最適な資産運用を提案してくれる「ロボアドバイザー」というサービスも多くなってきた。これはインターネットで簡単に申し込め、料金も安くてすむので覚えておきたい。

アンドリュー・O・スミス MBA・法務博士

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あんどりゅー・おー・すみす / Smith,Andrew O.

学生時代からお金、投資、資金計画に関するアドバイスを行い、ペンシルベニア投資同盟(大学投資クラブ)の設立に関わる。受託者、ファイナンシャルアドバイザー、弁護士として、信託基金、遺産、投資パートナーシップ、有限会社、保険信託、不動産パートナーシップ、個人資産の管理の相談に乗る。キャリアの初期は有資格の商品取引アドバイザーとして活躍し、投資ファンドの最高財務責任者を務めた。コンサルティング会社ブーズ・アレン・ハミルトンの経営コンサルタントとしてキャリアをスタート。現在は特殊化学品メーカーのイェルキン・マジェスティック・ペイントで最高執行責任者を務める。著書に『Sand in the Gears』。

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