アメリカ主導の超ド級金融相場ついに終盤戦へ <専門家3人に聞く>株式市場の行方とリスク

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いで・しんご●1970年生まれ。東京工業大学卒業。1993年日本生命保険相互会社入社。1999年ニッセイ基礎研究所へ入社。2018年より現職。専門分野は株式市場、株式投資、マクロ経済(写真・本人提供)

FRBのテーパリングについて井出氏は、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で市場に前触れを行い、年末に決定。来年1~3月期のどこかで開始し、来年中に完了すると予想する。利上げ開始は2023年中との見方だ。足下の高いインフレ率は一時的要因が大きく、来年にかけて2%近辺に落ち着くとみる。

一方、日経平均が2万7000円台前半まで反落した日本株については、「短期的にアメリカ株反落のあおりを受けるが、10月後半から11月にかけ日経平均は3万円台を回復する」と比較的強気のスタンスをとる。

「日経平均の適正水準は経験則では予想PERで15倍程度であり、2万8500円に相当する。さらに企業業績については、コロナ禍の影響で期初予想が例年より保守的だった分、今後は上方修正される可能性が高い。株価の割安感が高まり、中間決算発表時には日経平均は3万円を超えてくるだろう」

開いたワニの口が再び閉じる

今春以降、NYダウが堅調に推移する反面、「日本株は2月までのミニバブル的上昇の反動で弱含みとなり、ワニの口が開くように日米の株価が乖離した」。それが年末にかけては日米の方向性が逆転し、「ワニの口が閉じるような形になる」とみる。

来年については、日本企業の業績改善が続くため、日経平均は3万3000円程度まで上昇すると予想。アメリカ株も引き続き10%以上の企業業績伸長が見込まれるため、再び3万5000ドルを目指す展開と読む。

日米株価の大きなリスク要因としては、最近の株安要因ともなっている新型コロナのデルタ株蔓延と、米中対立激化による資本市場とサプライチェーンの分断を挙げる。「日本の工作機械や半導体などの対中輸出が伸びているが、もし米中対立で貿易や生産に支障が出てくるようなことになれば、株式市場への影響も避けられない」と井出氏は懸念する。

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