日産GT-R、誕生から14年の全歴史に見た超進化 最新2022年モデル「GT-R NISMO」は何がスゴいか

✎ 1〜 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

NISMOステルスグレーはGT-Rの本拠地であるサーキットの路面をイメージした色で、「サーキットの路面よりも青く、青空よりもグレー」という絶妙なバランスに挑戦。GT-Rの機能美を表現するために、あえてパール/メタリックは使わず純粋なソリッドにこだわったそうだ。ちなみにGT-R NISMOの「レッド」のワンポイントをホイールリムに追加したのは、このボディーカラーとのコントラストをさらに際立たせるためだという。

NISMOステルスグレーのボディーカラーと、コントラストを際立たせるNISMOレッドのホイールリム(写真:日産自動車ニュースルーム)

さらに塗装をしないボンネットは何とR34スカイラインGT-R時代に設定されていた競技用ベースモデル「GT-R VスペックⅡ N1」からインスパイアされた物。実は通常の塗装品との重量差はわずか100gとなるが、「モータースポーツの世界はグラム単位の進化が勝利への道」という強い想いが込められている。

メカニズムの部分はどうか? 2020モデルのNISMOは600馬力というパワーを1つの区切りとして、ほかのバランスを上げていく事に挑戦。その結果、すべての部位に関してロジカルに突き詰めた改良が話題となったが、2022年モデルのGT-R NISMO Special Editionは、2020モデルで手を入れなかったエンジンにメスを入れた。

搭載するV型6気筒3.8Lツインターボ(VR38DETT)は、徹底した部品管理と高い組み立て精度が特長となっているが、ピストンリング、バルブスプリング、コンロッド、クランクシャフトに高精度重量バランス部品を用いること、フリクションを量産車としては最高レベルに低減。スペック(600馬力/652Nm)の変更はないが、より滑らか、より低振動、より官能的……と、設計値に限りなく近づけた「理想のエンジン」に仕上がっているはず。ちなみにGT-Rのエンジンは1機ずつ職人の手によって製造、その証として「匠」のプレートが貼られているが、GT-R NISMO Special Editionは専用の「赤」仕様となる。

ステルスグレーとゴールドの、日本マクドナルドとのコラボレーション「トミカハッピーセット」(写真:日産自動車ニュースルーム)

今回、車両公開と合わせて日産自動車と日本マクドナルドのコラボレーションを発表した。4月30日から期間限定で子ども向け人気メニューであるハッピーセットの「トミカハッピーセット」で、同車両のミニカー付き(ステルスグレーとマクドナルド専用となるゴールド)が販売される。子ども用といいつつも、大人が殺到するのは間違いないだろう。

そんな2022モデルの発売は2021年10月を予定(価格発表は同8月)、基準車に関しても今後何らかのアナウンスがあるだろう。ただ、今後より厳しさを増すさまざまな規制への対応を考えると、2022モデルがR35の最後のモデルとなる可能性が高い。

GT-RとZの立ち位置は明確に

当然、「次期モデルはどうなるの?」となるが、残念ながらその情報は噂レベルでも聞こえてこない。

田村氏は、Zプロト発表の場でこのようなことを語っている。

「Zは『ダンスパートナーのように踊る相手とシンクロすること』、対するGT-Rは『モビルスーツのようにマシンのパワーと電子制御を使う……つまり人間の叡智をかけ、いかにドライバーとコネクションすること』、日産はGT-RとZの両方を持っているので、それらの『立ち位置』は明確にしています」

その立ち位置を比べる日がいつになるかはわからないが、田村氏の言葉を信じて待ちたい。

山本 シンヤ 自動車研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事