1年遅れ、北陸新幹線「敦賀延伸工事」最後の難局 2024年春開業となった敦賀駅周辺を現地ルポ
その北陸新幹線建設の現況がどのような様子か、完成後の終点となり、在来線特急との乗換駅となる敦賀駅をJRTT敦賀鉄道建設所の方々に案内してもらった。1年半前にもレポートしたが、整備新幹線の駅として最大という構造物は、無数の工事機材に取り巻かれながら、具体的な姿を現して周囲を圧倒していた。
敦賀駅は現北陸本線の東側に併設される。軌道面は地上から23mの高さがあり、高架橋としては3階だが、一般のビルを尺度にすると7階建ての屋上に匹敵する。その上に全覆い式の上屋を完成させた際には高さ37m、12階建てビルに相当、敦賀の街の景観を変える巨大城壁である。なぜそのような高さになったかと聞くと、福井方の至近距離で国道8号バイパスが北陸本線をオーバーパスしており、新幹線はその上を乗り越えて進入するためだった。
新幹線ホーム階は桁架設が残り、地上階は土木工事完了
駅部の高架橋はほぼ全面的につながっているかに見えるが、隣り合うラーメン構造(橋脚と桁が一体の構造。ホチキス針の形状にたとえられる)同士の間に桁が渡っていない箇所もまだ残り、要所要所を見て歩くためには、地上から軌道階まで何度も、工事用足場の階段を上り下りする必要がある。1カ所につき80段以上を数えた。
新幹線ホームは2面4線で、一部ではホームが築かれていた。これからホームを作る区画の、まもなくコンクリート型枠で囲まれることになる鉄筋越しに、2km近く離れた敦賀湾が遠望できる。完成後の乗換駅となったら、その景観自体が敦賀市のPRになりそうである。
中間階に下りると、そこがコンコース階。やはり一部に隣の高架橋と結ばれていない箇所もあるが、前後それぞれに奥深く静謐な空間が広がっていた。これから建築関係の工事に突入してゆく。太い柱が目立つ。東日本大震災後に改められた基準で設計されているため、金沢開業における富山駅などの1400mm角に対して1800mmある。
さらに地上階へと下りれば、在来線特急が発着する2面4線のホームが土木工事をほぼ完了。完成部分については直ちにJRTTからJR西日本に引き渡し、JR側の工事として施設や設備、それから仕上げ工事に入ってゆく。軌道面はコンクリートスラブを敷く新幹線と異なり、土路盤の上にバラストを盛るので今はまだ砂利道の態であった。
3階に新幹線が発着する高架の地上階に、新幹線と連絡する在来線特急のホームを設ける点が、敦賀駅最大の特徴となる。だが、この構造となったことが北陸新幹線敦賀開業が1年延びてしまった最大の原因でもある。
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