ほけんの窓口、伊藤忠の出資仰いだ舞台裏 「中立」が売りの保険ショップ最大手を巡る厳しい環境
ただ、この発展に大ブレーキをかけかねない、保険募集(販売)ルール改正の動きが、昨年央から相次いでいる。政府の金融審議会ワーキンググループの結論を機に、顧客の意向把握、推奨情報の提供などの義務付け、募集文書の簡略化など、複数の保険会社の商品を取り扱う大型の乗り合い保険代理店に、規制が導入されるからだ。
代理店と直接の雇用契約を結ばず、委託契約に基づく販売員、いわゆる「委託型募集人」と呼ばれる販売員による販売は、業法違反と見なされ、“原則禁止”となった。この委託型募集人を使った訪問販売で、業容を急拡大してきた大型乗り合い保険代理店は、今回の規制導入の影響をまともに受ける。委託型募集人を雇用関係に切り替えることで、生保会社は社会保険や教育・研修など新たなコスト負担を迫られるうえ、体制整備にも時間や労力をそがれるわけだ。
ほけんの窓口の場合、直接雇用する社員が販売を担う本体の来店型ショップとは別に、傘下に業界最大の1500人とも推定される委託型募集人を抱える、訪問販売子会社ライフプラザパートナーズ(LPP)を擁している。規制強化の動きにまさに直撃されている。
創業者と古巣の対立
さらには、ほけんの窓口固有の問題もある。創業者である、今野則夫前社長との関係だ。
今野氏は昨年、東京地検特捜部から、消費税法違反(消費税の不正還付)で在宅起訴。社長からの退任も余儀なくされた。創業カリスマ社長の事件を受け、傷付いたブランドイメージの修復や規制強化への対応という、会社始まって以来の未曾有の危機だ。その後を継いだ、大手損保副社長出身の窪田泰彦会長兼社長が「第二の創業」を掲げ、経営再建に奔走してきた経緯がある。
ところが今野氏は、競合する「みつばち保険グループ」の大株主である、光通信の顧問に就任。古巣の競合相手の事業拡大に間接的に力を注ぐという、いわば常識とはかけ離れた動きに出た。来店型ショップ最大手とその創業者が真っ向競争するという、複雑な関係になっているのだ。
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